活躍する卒業生 - 桑原 悠 さん

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活躍する卒業生 - 桑原 悠 さん2018-04-06T10:27:33+00:00

ジュエリーデザイナー 桑原悠さん

総合学科卒業
メーカー勤務の後、イタリアに留学。帰国後、工房bottega accaを立ち上げる

ジュエリーを始めたきっかけ

大学では、西洋美術史を専攻していましたが、これは学問としての美術なので実技ではありませんでした。ですが、ものをつくるのが好きだったので、在学中から当時流行し始めていたビーズのアクセサリーを作っていました。卒業後に、これも出始めだったアートクレイにのめりこんだものの、素材やできることの幅に不満を感じてきちんと彫金を勉強しようと思いました。

クラフト学院で学んで役立っていること

先生方は、課題を進めて行く中でぶつかる疑問や問題に対して、時には一緒に考えたりしながら、自分で何らかの答えを見付けられるように指導してくださったように思います。
在学中は、とにかく早く課題を終わらせて自由製作に移りたいと思い、ある友人と競って急いでいましたが、今から思うと、もうちょっとゆっくり進めても良かったです。
ただ、それは就職してから分かったことでした。

学校で教えていただいたことはたくさんありますが、今でも思い出すことは、ごく基本的なことがほとんどです。作業中の姿勢であるとか、工具を使う上での注意点など。また思い出すのは決まって失敗したときです。学生の時に失敗して先生に注意されたことを思い出すわけで、つまり、成長していないのかな、と思ったりもします。
同時に、注意されたことは覚えていても何と言われたか覚えていないこともあり、そんなときには、課題をとにかく急いだことを少し悔やみます。
学校で教えていただくことは本当に基礎です。不遜にも割とできる方だと思っていましたが、就職した時には自分が職人として使えないと思い知り、後輩の新人が入って来たときには使えないなと思いつつ以前の自分を思い出して苦笑いしました。
それだけに、学校で教えていただく内容は大事なことしかなく、仕事にするのならできて当たり前のことばかりだと思います。

仕事をするうえで心掛けていること

ひとつひとつの仕事に対して誠実でありたい、ということでしょうか。デザインや素材、納期、何より厄介なコストといった避けられない制約がある中でする仕事がほとんど全てです。できればもうちょっと手を加えたいけれど、それ以上作業をすると値段が上がって予算に合わない、或いは納期に間に合わない、だからここまでしかできない、といったようなことが往々にして起こります。それでも自分の作品として恥じないように、制約の中でできる限りのことをしつくしてお客様に応える、ということです。

もう一点は、オリジナルであることへのこだわりです。依頼品ではなく作品として 製作する商品について、オリジナル性を持ったものを作ることです。どこかで見たことのあるようなものではなく、もちろん真似などではなく。このこだわりにはおそらく美術史を勉強していたことが影響していると思います。今、手の込んだ工芸品は、ほぼ芸術作品と同じに扱われるのがほとんどですが、使用目的を持ったものは純粋な芸術ではない、と思っています。高い値段のダイヤをたくさん使ったジュエリー=高額、昔の有名画家の作品=高額、だからといって必ずしも高額のジュエリーが芸術ではなく、単に技術の水準が高いだけでも芸術ではないのではないか。一方で、芸術的なと言える工芸品も確かにあります。ジュエリーを作っている以上、芸術作品は作れないわけですが、そこへ近づく努力はするべきだと思っています。

学生へのアドバイス

私は入学の時点で彫金を仕事にしようと決めていたので、私のアドバイスはあまり一般的ではないかもしれません。
彫金を学べる学校はいくつかあり、個人の教室を含めると学ぶ場の選択肢はかなりたくさんあると思いますが、重要なのは自分がいつまでにどれくらいのレベルになりたいか、ということではないかと思います。教室に通うのが楽しいのがいいのか一人で趣味でやっていきたいのか、他の仕事に就きたいが経験として学びたいのか、職人になりたいのか、作家になりたいのか。それぞれに合う場があると思いますので、それに合った場を見付けることが一番楽しく続けて行けることにつながると思います。

私なりにクラフト学院の特徴を挙げるとすれば、分かりやすくて堅実だということだと思います。最新の工作機器が豊富に揃っているというわけではありませんが、例えばパソコンばかり使っていると漢字が書けなくなるようなもので、基本ができていないうちから楽な機械に頼っては上手くなりませんし、逆に基本ができていれば、できていない人より上手く機械が使えます。その基本のところをきっちり身に付けるには、できないうちからいきなり好きなものを作るより、初めは整ったカリキュラムに沿って進めるのがよく、できるだけ手の感覚を養えるところがよいのでなないかと思います。卒業後、他の学校や教室で勉強してきたたくさんの人に会いましたが、とりあえず私はクラフト以外の学校の方が良かったと思ったことは、まだありません。

この人が学んだのは 総合基礎科