2020年 ディプロマ取得 山際 梨華さん

FGAを目指したきっかけ

実家が営む宝飾店の後継問題が浮上したのがきっかけです。
まずは宝石について学ぶ必要があり、それならば宝石の資格のようなものが取れれば一石二鳥ではないか、と探していたところに、FGA というタイトルがあることを知りました。
とはいえ、子育てと仕事を抱えながら果たして勉強などできるのかと不安でしたが、反抗期に差し掛かる息子たちと一緒に勉強することで、大人が目標に向かって真剣に努力する姿を見せられる良い機会でもあると考え、この難関に挑戦することを決意しました。

FGAの勉強

まず驚いたのが、学ばなければならないことの幅の広さでした。
宝石の種類のみならず、結晶構造、化学式、光の性質、比重と密度、合成法、処理法、鉱物、地質学などの理系分野のオンパレードに文系の私は始まって早々挫けそうになりましたが、先生はどんな初歩的な質問にも的確に丁寧に教えてくださいました。

ファンデーションコースでは、テキストを読み込み、板書を写しながら先生の説明をメモし、帰宅後に再びテキストを読みながら授業ノートをまとめる、という方法で基本的な知識の土台作りを行いました。

ディプロマコースでは、ファンデーションで学んだ各分野をより深めていきます。
専門的な内容が増えて難易度も飛躍的に上がり、加えて論述式の試験対策が必要となりました。
過去問ベースの宿題問題では設問の内容を理解することすら難しく、完成した回答紙面は先生の赤ペン添削で埋め尽くされ、自分の力不足に打ちのめされましたが、細部に行き渡る先生からの添削コメントは、試験当日にはゆるぎない記述力となりました。

コロナ禍で試験延期となって気持ちが続かずに心折れそうな時も、先生は穏やかながらも厳しく、常に背中を押し続けてくださり、心から感謝しています。
また、年齢も性別も職業も様々な通学コースのメンバーとは、わからない所を共有したり、励まし合ったり、まさに戦友と言える存在で、試験当日も私の心の支えでした。
二年間、時間と課題に追われる目まぐるしい勉強の日々でしたが、それは真剣に宝石と向き合った、充実した濃密な時間でした。

FGAを目指す方へ

FGA が宝石業界最高峰と言われる所以は、宝石に関わるありとあらゆる知識を得て、そして今後も学び続けていこうという意欲を持つ者だけがFGA を名乗れることにあるのだと実感しています。

ここに至るまでには想像以上に険しく孤独な戦いを強いられますが、先生からの全力のフォローと、共に戦う友人と、美しい宝石たちに支えられ、乗り越えるための道は通じています。
そしてその頂には、至ったものにしか味わえない大いなる喜びが待っています。

宝石に関わるお仕事の方や宝石が好きという方、石や鉱物に興味のある方には、是非挑戦していただきたいタイトルです。
今後も、宝石の深遠な世界を伝えていける多くのジェモロジストが生まれることを願っています。