かんざし職人  津留崎 千勢 さん

全日制学科卒業
かんざし職人の下で修業し
現在オリジナルかんざしを制作・販売

30歳でかんざし職人を目指しました

私がかんざし職人になろうと思い立ったのは30歳の時です。
それまで金属加工はおろか物作りなどの経験がなかったので、何の知識や技術もないまま弟子入りを許してくれる工房はないだろうと思い、宝飾の学校に通うことを決めました。
クラフト学院に入学を決めたきっかけはべっ甲の専門講座があったことが大きな決め手でした。
かんざし職人になると心に決めた時から、べっ甲と貴金属を合わせたかんざしをいつか作りたいと夢見ていたからです。

卒業制作ではべっ甲や伝統彫金などの技術を活かしたかんざしと櫛のセットを作り優秀賞を受賞

熱意を持てば答えてくれる学校

入学当初は何も分からず出来ないことばかりでした。私に出来ることと言えば、素直に教わり、わからないことは質問し、できないことは繰り返し練習し、他の生徒が受けている指導や指摘にも関心を持つこと。そして「今は不出来だけど1年後は今よりマシになり、2年後は今より上手になっているはずだ」と自分を信じて地道に勉強することだけでした。
先生方はとても丁寧に根気よく教えて下さいました。同じ科目でも担当の先生が何人もいらっしゃるので、先生の数だけ方法を学ぶことができます。
学生の頃は出来るだけ多くの方法を学び、試してみることで、自分にあった方法を見付けながら技術の向上を図ることができました。
伝統彫金、べっ甲や七宝などの様々な専門講座があるので技術の幅を増やすことができます。それは表現の幅を増やすことにつながりました。色んな講義で得た知識と知識が繋がり、それが制作の知恵になっていくのを感じられた2年間でした。私達学生が学びたい!と熱意を持てば、それに応えてくれる素晴らしい学校です。

卒業後はかんざし職人の下で修業しながらオリジナルかんざしを制作

しっかりとした技術の基礎を身に付ければ新たな可能性が見えてきます

「これまでかんざし職人になった卒業生はいません。」と言われて私は入学しました。
クラフト学院はジュエリー専門なのですから仕方ありません。ですが、ここで学んだことはかんざし職人の仕事に関連していますし、とても役立っています。
だからどうか前例がないからと言って諦めないで欲しいのです。しっかりとした技術の基礎を身に付ければ新たな可能性が見えてきます。もしこれから皆さんが、難しいとされていることや、まだ誰もやったことがないようなことに挑戦したいと思うことがあればぜひ具体的に行動してみて下さい。
挑戦や失敗に苦しむことは、不可能の理由を探すよりずっと有益です。
そして何より素直な気持ちで学ぶことを大切にして下さい。
クラフト学院に入学する前に色んな勉強と経験をされてきたと思います。前職がジュエリー制作の方もいるでしょう。それらの大切な知識と経験は一旦端に寄せて、新たにまっさらな気持ちで学んでみて下さい。
きっとその姿勢がより多くの技術を吸収し、皆さんの一生の武器になってくれると思います。

ディスカバリーチャンネル「明日への扉」で取材されました

2022年1月20日放送の「明日への扉」で、津留崎さんが取材された「錺簪職人 日本の四季を映し出す小さな世界」放送されました。
現在、YouTubeで配信されています。